「ODD EYE」 |
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クラピカの片目は、激しい戦闘で失われた。 酷く傷つき、治しようが無かった為、クラピカは自身で摘出した。 オレは少なからずショックだったし、悲しんだけれど、それでも 敵に奪われたわけではないから良かったとクラピカが言うので、 怒るのはやめて、ただ泣きながら抱きしめた。 命が残っていればそれで良い。 それも間違いなく本心だから。 生きてオレの傍に戻って来てくれてありがとうと感謝を告げた。 やがて体調が回復したクラピカは、ルクソ地方に赴き、故郷の村の 焼け跡に、眼球を埋葬した。 まるで自分自身を葬るかのように。 そして、長い長い復讐の日々は終わりを告げる。 「医院に勤める者が、眼帯や包帯をしているわけにはゆかないだろう?」 そう言って、クラピカは義眼を入れる事を望んだ。 片目がなくてもクラピカは誰もが認める美人だし、オレも別段気にしては いなかったけれど。 クラピカの願いなら、何でも叶えてやる。 それがオレの甲斐性だから。 ハンターの権限を駆使して探した、世界一の義眼職人を二人で訪ねる。 さすがに最高級品と謳われるだけの事はあり、勧められた義眼はどれも 精密かつ繊細で、本物とみまごうほどの素晴らしい出来だった。 人類の持つ色彩ではありえない色まで揃えた多種多様なカラーの中、 クラピカが選んだのは、深い青色の瞳。 「オッドアイにするのか?」 カラーコンタクトも普及している昨今、左右色違いの目など、少し都会に 行けば珍しくないが、どこか不思議で問いかける。 クラピカは嬉しそうにうなずいた。 「美しい色だろう?」 確かに綺麗な色だった。 オリジナルの瞳と並べても、それほど違和感は無い。 いや、どんな色でもオレはきっと魅了されるだろう。 それがクラピカの瞳である限り。 「海の色だな」 「違うのだよ、レオリオ」 鏡を覗いていたクラピカが振り返った。 「お前の瞳の色だ」 見つめて来るのは、愛しい少女のまなざし。 「お前と同じ色にしたかったのだよ」 オッドアイが笑う。 大地の琥珀と海の群青で。 願わくばその瞳が、この先オレだけを映してくれますように。 |
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END たまには絵&小説のコンボで。 ※ブラウザのBACKでお戻り下さい※ |