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夜、眠りにつく時
目を閉じると不意に不安な気分になって
現実が夢ではない証を確かめる。
――― 大丈夫、傍にはいつも彼がいる。
平穏な日々を過ごしているのに、いまなお微かな不安が消えない。
目を開けたら、まだ一人ぼっちの子供のまま取り残されていそうで。
この手でしっかり触れていないと、孤独が見せる幻のような気がして。
そんな想いを振り払うように、ベッドのぬくもりを追う。
闇の中に優しい体温。
見えなければ虚勢も必要なくなるからと、すべての照明を消して
毎晩、甘えさせてくれる。
すっかり許してしまった心と身体をあずけ、暖かい胸に擦り寄った。
「おやすみレオリオ」
「できれば、まだおやすみたくねえんだけどな」
からかうような口調で、レオリオは金の髪を撫でる。
苦笑して、クラピカは眠ったふりを決め込んだ。
もう独りではない。
もう決して失わない。
心情を示すように、強く固く抱きしめる。
手に入れた唯一の幸せを逃さない為に。
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