「呟き」
〜ヴェーゼのモノローグ〜
 



 気がついたら
アタシは暗くてフワフワした
おかしな空間を漂っていた。




─── ここはどこ?
なんでアタシ、こんなところにいるの?
アタシは一体、どうなっちゃったの?




なんだか頭がボーッとしてる。
まるで二日酔いの朝みたい。
仕事中だったはずなのに。




─── あ、思い出した。




いきなりマシンガンぶっぱなされて
慌てて会場逃げ出して
廊下を走ってて
─── ……




……殺られちゃったんだっけ。




─── ……


……………


……………


…まぁ、仕方ないか。




クヨクヨ考えるのはアタシの性分じゃないし。
生き返れるわけでもなし。
とりあえず
大勢のイイ男とキスできたし
好きなだけ下僕にもしたし
少なくとも並みの女より
楽しい人生だったから。




なんだかよくわからない化け物に
殺されたのはちょっと不本意だけど
キタナイ死に様を晒さずにすんでよかった。
アタシは美しい姿のまま皆の記憶に残る。
けっこう悪くは無いじゃない。



─── そういえば


他の連中はどうなったかな。
ただひとり
アタシのキスを拒否したあの子は
奴らに殺されなかったかしら。




無事でいるといいな。
あの子ときたら
レンアイの楽しさも
ダンジョの面白味も
なんにも知らないくせに
ジンセイの重みだけは
他人の万倍も背負ってたっけ。
あんなにキレイな顔してるのに
なんだかちょっと悲愴な感じ。


生きて幸せになれたらいいな。
アタシの分まで




─── ナンテネ。



Fin

旧アニメのエピソードを元にしたので、新規さんにはわからないかも(汗)